ヒトとシゴトを新たにつなぎ、地域の問題を解決

ヒトとシゴトを新たにつなぎ、
地域の問題を解決

自分ごとに置き換え提案する。
成果を収めた櫻井 貴斗の着眼点。

2017年9月に静岡県農業協同組合中央会(以下JA静岡中央会)が立ち上げた採用サイトは、これまでにない形態でアルバイトタイムスの無料求人誌やWebメディアと連携しながら、期中からの活動開始にも関わらず、静岡県内の農業雇用成約件数3割増に寄与。櫻井にとって、この一連の取組みは〝農業ではたらく〟をシゴト探しのスタンダードにすることを追求する日々でした。

STORY 01農業の人材不足という、深刻な問題。

 JA静岡中央会から農家の人材不足をどう解消すべきかという相談がアルバイトタイムスに届いたのは2017年の夏。
 
 担当することになったのはWebコンサルティング事業を立ち上げたばかりの櫻井でした。まずはリサーチのため静岡県内各地の農家を訪れることに。「せっかく実った野菜や果物が労働力不足のため出荷できず腐らせてしまっている状況を目の当たりにし、この問題を解決していきたいと思いました」「県内の農家さんが楽しく働く様子を実際に見て回り、良い作物と良い働き手がいて、労働環境も整っている農業の仕事は採用プロモーションの活用次第で雇用に伸びしろがあるはずと思いました」と櫻井は当時の印象を振り返ります。
 
 地場の農家さんをなんとかしたい、というJA静岡中央会の皆さまの想いとも重なり心を動かされた櫻井は、どうすれば〝農業ではらたく〟ことを求職者の仕事選びの選択肢に加えられるかを考え抜き、これまでにない着眼点から採用戦術プランを練りあげました。

農業の人材不足という、深刻な問題。

STORY 02農家ではたらくを
シゴト探しのスタンダードに。

 2016年からアルバイトタイムスは各農家さんの採用担当者との間で「労働力支援研究会」を定期的に開催し、労働力の安定確保・定着に向けた効果的な求人方法の検討を続けていました。
 
 「当時、一部のJAさんでは採用のために無料の職業紹介所を設置・運営されていましたが、求人の露出やマッチングに課題があると感じていました。解決には、そもそも農家の求人があるということを世の中に知ってもらうこと。そして、農家で働くことを“ジブンゴト”にしてもらう必要がある」と考えた櫻井は、〝農家ではたらく〟をシゴト探しのスタンダードにするため、2017年9月にJA静岡中央会と独自の採用サイトを立上げます。
 
 「それまで、農家の求人情報は各JAさんが管理するファイルにあり、誰もがアクセスできるものではありませんでした。そこで、各農家さんの求人情報をリアルタイムに集約しWebに掲載することで多くの方に届けるシステムが必要だったのです」
 
 「でも、仕事はいくらでもある時代なので、農業の求人があることを世に知ってもらうだけではダメ。求職者のターゲットを設定し、その方に響くプロモーションと求人記事で、農家ではたらく魅力をジブンゴトに感じてもらえるコンテンツにする必要がある」とアイデアふくらませ、これまでにない採用プロモーションが動き始めました。

農家ではたらくをシゴト探しのスタンダードに。

 当初、農家やJAから、若者や担い手になる就農顕在層を狙うのが効率的ではという声がありましたが、それでは裾野の広がりようがなく、短期雇用の就農潜在層を取り込むことが必要なのでは——そう考えた櫻井は、各JA採用担当者と情報・意見交換を重ね、主婦とアクティブシニアに向けた農家専門求人サイト「しずおかの農業ではたらこう」を立ち上げました。
 
 このサイトでは、農業で働く魅力を農家さんの生の声で、はじめての農作業体験、産後・育休からの復職体験など多様なコンテンツを配信していき、今では月間3万PVのサイトに成長。
 
 「これまでとは違う層(主婦)から問い合わせがくるようになった」「新聞広告でコストがかっていたが、求人サイト掲載後に問い合わせが急増。Webで仕事を探す人が多いことを実感した」というリアルな声も寄せられ、期中からの活動開始にも関わらず、2018年1~3月の農繁期に、Web広告を集中配信するなどし、雇用成約件数は前年の3割増という期待と想像を超える成果で、雇用ニーズの裾野を広げることに成功しました。

各JA採用担当者と情報・意見交換を重ね、主婦とアクティブシニアに向けた農家専門求人サイト「しずおかの農業ではたらこう」を立ち上げました。

STORY 03農家ではたらく魅力が伝わった。

 より多くの潜在層とコミュニケーションを図りたいという考えから、自社発行の求人誌「DOMO」にて14回の啓蒙記事の掲載や、求人プラットフォームサービスとして展開している「ワガシャde-DOMO」を活用したことも成功要因の一つ。「スマホ・Webで求職者向けに求人記事を作成すると自動的に「自社求人サイトDOMO!NET」や「インディード」などの求人検索エンジンに拡散できるワガシャde-DOMOのシステムで、農家ではたらく魅力が広く伝えることができた」と櫻井は言います。
 
 農家ではたらく人の声を集めるため、取材に力を入れたのは「アンケートやソーシャルリスニングなど、マーケティングデータより現場の声が一番新しいので、ひとつひとつ生の声を聞きながら、求職者に求められ役に立つ情報を伝えたい」という櫻井の想いからです。「農家さんのインタビューでは、皆さんの自然な笑顔と明るい表情で楽しくリラックスして働いている様子が羨ましいと感じました。この笑顔の源は何なのだろう?と。職場の雰囲気がとてもアットホームなこと。子どもの行事優先で休みがとれることはお母さんたちにとっても都合がよいこと。野菜が好き、土いじりが好きで自然と触れ合うことが好き、などなど沢山の気づきがありました」。

農家ではたらく魅力が伝わった。

 「取材を経験したことで、雇用側の農家さんやJAさんが賃金などの条件をを気にするあまり、うちには人が来ないよ・・という否定的な声に対しても、気にしなくていいですよ、とアドバイスできるようになりました。同時に農業ではたらくことを新しいワークライフとして伝えていく手応えも感じていました」と櫻井は振り返ります。

STORY 04成功の実体験は瞬く間に全国のJAに広がった。

 櫻井は今回のプロジェクトで、結果が出るまで様々な壁にぶつかり、失敗も何度となく経験してきたという。「お客さんと時にぶつかることもありました。結果の良し悪しは別として相手の本音を聞くきっかけになったと思います。何事もトライ&ラーン。小さな失敗をしても引きずることなくやり続ければいい。失敗から学びチャレンジし続けることが大切だと思います」と櫻井は語ります。
 
 「成果を収めるには、まず自分ごとにすることでしょうか。自分が担当者、クライアントの立場になり、疑問を抱くこと、その提案を聞いて納得できるかどうか、そのために必要な学びをする、今の努力、今やれることを自分の糧とするために、意味がないと思ってもとりあえずやってみること。たとえ結果がでなくても、後悔したくないのでやってみます」。

成功の実体験は瞬く間に全国のJAに広がった。

 こうして櫻井が担当したJA静岡中央会とアルバイトタイムスの取り組みは静岡県の成功事例として、全農の紹介で広く全国のJAに届き、一年を通じて農作業のある北関東・東海を中心に全国のJAで導入されています。

「お客さんの成果につながる役に立つことをしたい・・・アルバイトタイムスでは、どんなことをしたらお客様の役に立てるかを考える機会がたくさんあります。地場だけでなく全国にある農業の人手不足という社会問題に向き合えている今にやりがいを感じています。近い将来、農家で働きたい人を派遣や請負ができるまでの仕組みも作る必要があると思います。年間を通じて農業の労働力不足を解消し支援できる人材バンクを設立してみたいですね」と話すプロジェクトはまだ始まったばかり。全国の農業で働く人の声を取り入れながら、櫻井自身の成長とともにこれからも続いていきます。

全国の農業で働く人の声を取り入れながら、櫻井自身の成長とともにこれからも続いていきます。